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投票に行かない理由

 

ちょっとツイッターを見ていると辛くなってしまった。

『投票に行かないなんて、何も考えてない』

『自民党が勝ったのは、投票に行かないやつのせいだ』

『こんなに苦しい時こそ行くべきなのに、半分も投票に行ってない人たちがいる』


と言ったような、投票に行く人が善。行かない人が悪というような発言が多くなったせい。

私は『行かなかった』人なので、なんだか責められてるようでツイートをミュートしてしまった。


行かなかった理由は、いくつかある。

まず、大前提にあるのは私の住む場所は『盤石な自民党の地盤』が出来上がっている地域だからだ。選挙結果も自民党が圧勝で、二番手と一ケタの数字が違う。正直ここまで違うと、自分の票程度で覆せる気力は起きないわけで……。むしろ、野党に投票した人たちの勇気を称賛したいレベルだし、野党に投票した人たちの殆どが政治について調べているだろう人たちであるといってもいいかもしれない。

二つ目。
暑すぎて無理。……気候のせいにするなと言われそうだが、夏は暑く冬は寒い。それだけで外に出るのが億劫である。気候も大切な要素だと思う。

三つ目。
投票に行ったことがない私にとっては、投票場所が異世界であり耐えられない。
これは完全に私個人の特性なのだろうけど、行ったことがない人にとっての投票はハードルが高すぎる。


その他細々。

『入場整理券』が世帯主に届けられている。……これだけで、なんというか投票するのは世帯主でいいんじゃなかろうかという他人事な気持ちになる。
それをとても実感したのは、『コロナワクチン接種券』が個人単位で送られてきたからだ。個人で送られると自分事として考える事が出来るし、そこに世帯主は介在しない。なぜ入場整理券は世帯なのだろうか……いや。予算の関係ですね。はい。でもこれ、家族の空気が支配的だと尚更『世帯主の言う通り』という事にならないのだろうか。
と、思っていたら、Twitterで『やっと家族から離れて自分の意思で投票出来た』『今まで親の言う通りの人にしか投票できなかった』という虐待家庭の話が流れて来て、……だよなぁという気持ちになった。



あとですね。やっぱりいきなり人を変えて、今までの中央と繋がりのある人物を落とす事は地方には不利……というのもあるのですよね。もう、なんていうか『中央と繋がりがしっかりある現職』を当選させた方が、地方の話も色々と聞いてもらえて得という理由も地方にはあるのです。

中央(東京)にいると分からないかもしれないですけど、地方はじり貧なので別に自民党が好きで投票するわけじゃなくて少しでも地方の話を通せる人を当選させたいという地方ならではの思惑もある。

もっと地方に力があれば別かもしれませんけど、現状はそうではないので。



そして、さらに個人的な話として。

うちは母親が「投票なんて意味がない」と言って行かない派なのです。私が少しでも「投票に行ってみない?」と言えば、「は? あんなの狸と狐の化かし合いでしょ」と馬鹿にした言葉が返ってきます。
妹も政治には興味がない。父は投票に行っているようだけど、人の話は全て馬鹿にして来る人なので話は出来ません。

ド田舎で、車無しの私が投票所に行くには約三十分間の日差しに照らされて歩くしかなく……行くだけでもハードルが高い。(田舎でも投票所は近い方かもしれない)



ついでに、国政選挙は選挙カーも来ないような場所に住んでます。選挙カーは遠くで少し何かを言っているのを2度ほど聞いただけ。選挙があると知らなければ、気が付かないレベル。
人のいない地方は選挙カーすら回ってきません。うちの母は選挙がある事すら知りませんでしたし、私もツイッターを見てなかったら全く知らなかっただろうなと思います。

看板が出ている……と妹から言われましたが、出不精で外出をほとんどしない母と私は本当に『情報がない』のです。

テレビは射殺事件後に選挙の話をやり始めたくらいにしか見えない……ほどに、ほとんど何も言わなかったように思うのです。やっていても見かけるのは『若者は選挙に行かない』という事だけ。選挙に行かないじゃなくて、行く気にさせる番組構成に出来ないのだろうかと思ってしまいます。

意図的に情報を少なくして、選挙に行かせないようにしているのでは?とすら疑ってしまう。

新聞も母はもう、読めないのです。テレビしか情報源がないのに、そのテレビは選挙について何も言わない。もしくは、ニュース時間の数分だけあったのかもしれませんが、それを見逃せば情報は入って来ない。投票率云々の前に、田舎にいると『情報がない』事をまず、どうにかしてほしい。看板だけ見て判断しろというのだろうか。



少なくとも『選挙カーを回すほど人がいない=票がない&動かない場所』と思われてるのは実感します。地方の現実なんてそんなものです。


いろんな事を地方では『諦める』しかない。
ツイッターではいろんな議論がなされていて、自民党は多様性を認めてない。消費税を上げる。インボイスはヤバいというけど。

地方はそもそも多様性を求めるのは少数派(夫婦別姓・同性婚)で、そんな事を口にしようものなら奇人変人の烙印が押される。
インボイスはそれほど話題になっていないし、恐らく認知度は低い。消費税に関しては、諦めている。


自由な議論など出来る空気がないので、Twitterの都会人の議論は通用しない世界なんだよな。


でも、Twitterの議論は見ていて勉強になるし、投票に行く機会があれば行ってみたいなという気分にさせてくれました。




最後に。これは、今の私ではないけれど

『投票に行かない若者』の一部は『住民票を置いたまま引っ越している』可能性もあるのではないかなと思う。
私も若い時はそうした。住民票の移動が面倒で、地元に置いたまま進学や就職をする。すると、投票できないので投票率は下がる。
特に地方はそうする若者が多いのではと思うけど、どれくらいの割合でそのせいで投票できない人たちがいるのかは気になる。

違法だという事はわかっているが、移動はかなり手間なのだ。マイナンバーカードで一発だよというくらい便利になればしていたかもしれないが。そんな機能、まだないですよね。


そして、『投票に行かない若者』と訴えるのを見る度、私は若者じゃないから別にいいか……と他人事な気持ちになる私。若い頃は若者のせいだっていうのかと思ってたけど、もう、他人事な気持ちになれるお年頃になってしまいました。

というかたぶん、『投票に行かない若者』というのやめた方がいい。意味がないし、『他の人も行っていないから自分だけではない』という奇妙な安心感を持つ人もいると思う。『投票に行くために必要な情報』を届けるほうが投票率は上がると思う。むしろ、投票率を下げたくて『投票に行かない若者』と言い続けているのだろうか?



※『地方』と書きましたが、全ての地方がそうなのかは知りません。私が住んでいる場所はという意味です。