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十二国記のアニメをみている。

2024/04/06

 十二国記のアニメを見ている。

この作品は『月の影、影の海』だけ職場の人から借りて読んだことがある。
その前から気にはなっていたけど、それは単に私のすきな作品とタイトルが似すぎていて紛らわしいという意味で気になっていただけで、中身は全く知らなかった。

借りたのは10年以上前、20代の時。
当時、漢字の多さにめげそうになりながらもなんとか物語を理解しようとして……めげた。あんなに、謎ばかりで、物語は人の裏切りばかりで主人公が鬱々としていくという面白くもないものだったのに、最後は『実は王様です』という定番のネタ。最初からそう言えよ!としか思えなかった。
さらに『木の実に子供がなる』のに『男女が存在する』という点にも引っかかった。

という事をアニメを見ていて思い出した。

つまり20年前はつまらないと思った作品。で、今、アニメを見ていてもつまらないなと思う。

でも、この作品はヒット作なので何か面白い点があるのだろうと思って人様の感想をいろいろ見た結果『陽子の勇ましさが好き(最初は女の子だったけど、それだと危険なので男言葉になった)』とか『王と麒麟の関係性が好き』みたいなものだった。

ああ。まぁ。うん。そこは、わからなくもない。私はそこに何の関心もないけど、それが好きな人がいるのはわかる。


でも。あの世界設定だと色々……おかしすぎるよね。性別の存在が一番謎過ぎるんだけど、たぶんあれは作品が作られた時代を考えると『性別の存在を疑問視する』という人の方が珍しいので、この作者さんはそれをせずに『子供が実になる』という設定だけを採用したのかなと。


私、十代の頃にファンタジーをいくつか読んだけど(主に漫画)、性別が存在しない……というのはさすがになかったと思う。
近いのは『イズァローン伝説』だろうか。この物語は中性で生まれて、好きになった相手によって性別が決まる。というものだった。他にも魔との闘いなどなかなか面白い設定で楽しい物語。
『地球(テラ)へ……』は人工授精と人工子宮で子どもをつくり、養い親の元へ子供は送られる。成人すると大人たちの場所へと送られる……という設定だった。
これも人工で子供が作れてしまうので、性別不要っぽいけど発展した結果という設定なので名残として残り続けてるんだろうなと思った。
性別に関するのはこれくらいかな。後は思いつかない。

異世界転移ものは小説だと『アナトゥール星伝』は本の中の世界に飛ばされてメシアと言われる女子高生の物語。
漫画だと『ふしぎ遊戯』これも本の中の世界に入って巫女になる中学生の物語。
この2作が十二国記に似てる感じがする。

「月の影、影の海」は『ふしぎ遊戯』の唯の物語に似ていると思いながら読んだ。
『ふしぎ遊戯』の主人公は美朱なので唯の話はちらっとしか出てこなかったけど、酷い目にあって人間不信になり友達の美朱を疑うようになる。


陽子が異世界に飛ばされて『王だ』と言われても信じないのは、リアル……みたいな感想もあったけど……どんな作品読んでるの?と思う。
「アナトゥール星伝」の主人公ユナだって最初はそんなもの知るかっていう感じだったし、重責に耐えかねて逃げ出してる。異世界に行く物語の高校生主人公なんて、そんなものだと思う。

もっと読みやすくてわかりやすい異世界ものはある。よくわからないやたらと設定が凝っているのに、細部は矛盾だらけの十二国記の意味が分からない。

意味が分からない点。

・性別の存在
・妓楼があるのは『男性の快楽優先社会』ということ?
・麒麟の穢れの意味。(これはのちの作品で作中のキャラが疑問視してるらしい)
・天帝とは何か
・王の権威のための王宮(?)らしいけど、土地が荒れてる状態で王の権威って何?空から『この国は死滅寸前』ってどの国の王も確認できるんでしょ。

ふと思う。
・王は他国に侵攻してはいけないらしいが、民は別なので民が自主的に他国を襲う事は可能では?
・民が王に従う意味はある?(この辺りはまた別作品にあるらしいけど)
・子どもがなる木を切り倒せば戦争せずに勝てそうだよね。

などと思っていたら、他の人の記事で
・王がいなくて土地が枯れるような酷い有様で、民が子供を欲しがるのだろうか。
というもっともなことを言っていた。王がいない=世界消滅。

あと、この世界『移民』というものが存在してるらしいけど、地理的に端っこの4つは難しそうだよね。王がいないだけでこの4つの国は死滅していても不思議ではないのでは?
それとも意外と海が穏やかで行き来は楽なのだろうか?

移民が存在している=土着の民ではない。……やっぱり民が王に従う意味ってないよね。だって、王様って消えるんだし。なんで、こんな世界設定にした?この矛盾、この先回収するの?

従えるべき民のいない王なんて裸の王様だけど……この世界設定はそれ以外の選択あるの?

あと、麒麟がなる木……あれ、襲ったらこの世界消滅するの?という疑問が。あの木の警備や防御態勢どうなってるんだろう。蝕で実がさらわれる程度には無防備なのおかしくないの? せめて周りを囲って蝕の影響を避けたらいいのに、麒麟がなるってわかってるんだから防御完璧にしようと誰も考えないの逆にすごいなと思う。わざわざ蓬莱まで探しに行くのメンドクサイよね。


『新世界より』も凝っていて、矛盾溢れていると思ったけど……異世界設定は『少し現実と違う』程度にしておかないと、『凝りすぎてる設定でその社会や文化、価値観設定』おかしいぞとなる。
大抵『作者の想像だけで作り上げた設定』はそうなりやすい気がする。『現実にあるもの(もしくは、仮定の知識など)』を上手く組み込むとそこまで矛盾はなかったり、価値観・文化まで含めて世界設定してあると上手く飲み込める場合もある。


でも、一番は『全部作りものだから設定は全てスルーするのが正しい』のかもしれないけど。こういうのって『下手に知識がある方が気になる』ので、私も年取ったなという事。
でも、十代でこの十二国記を読んでいてもたぶん面白いと思えなかったと思う。他の作品の方が面白かったから。

十二国記つまらんんというのを書くための、過去の面白かった作品を調べ直してしまった。

『イズァローン伝説』『アナトゥール星伝』『ふしぎ遊戯』の方が私は好き。でも、今読むと多分、矛盾点は多々ありそうだな。全部、手元にないので読み直せないけど。