さて、ここまで『作品を発表することの責任』を書いてきましたが、R18作品も同じなの?という疑問も出てくるかもしれません。
もちろん書き手に社会的責任はありますが、この大半を『読者』に押し付けることが出来るのが、R18です。
アンモラルも間違った知識も偏見もアングラな話も何でもありで書けるのがR18です。表現・描写もどこまでも書けます。(2025年の日本では、まだ小説に規制がありません。今後どうなるかは不明です。)
R18作品は書き手側よりも、読み手……つまり、読者側に責任が移ります。読み手側の常識や道徳心、それが『物語の中だけの事である』という知識も必要になります。
ただし、現状はアダルト作品から知識を得て、間違った認識を現実に持ち込む人が一定数いるという悲惨なことになっています。人権教育も性教育もされてない国ではR18は偏見と差別と間違った知識のばら撒き装置でしかないので、どんどん現実の浸食が進んだなと思ってしまいます。誰か大規模な社会実験でもしてるのでしょうか?
ゾーニングを機能させるだけの社会を構築できていないという問題はありますが、ここでは一旦脇に置きます。
また、R18作品を未成年者が見てはいけないのは、『社会的責任』を負えないからです。書き手側は18歳未満閲覧禁止という『レーティング』をして社会的責任を果たそうとしているのに、それを平気で踏みつけるのはモラルのない読者です。また、そのような未成年者を「好奇心があるから当たり前だ」と言ってしまう大人も問題です。
必要なのは適切なゾーニングはどのようなものか。どのような方法でゾーニングをすべきかという議論です。
R18作品は価値観の歪みや間違った情報が多々混ざり込んでいるという事を未成年者は理解してほしいですし、また、過激作品は未熟な脳には麻薬のような中毒物になるらしいです。(……文字情報はどこまで中毒性があるのだろうか。)ある程度成熟した脳みそを持って知識と理性と冷静な判断力で読むのがR18作品です。
何度も書きますが、R18作品は
・差別、偏見の助長
・間違った情報
・偏った価値観
これらの集まりです。エログロがR18だと思ってる人は回れ右をして、絵本を開いてください。それが全年齢です。全年齢に何が書かれているかを理解してから、児童書、一般書籍、官能小説(R18)へと進みましょう。
絵本にもエロ(性的なもの)やグロ(暴力・残虐)はあります。ですが、その表現や描写、テーマは官能小説とは別物です。
問題は『正しい情報(医療・法律等に関するもの)』と、相手との心地よいコミュニケーションをとるために『必要な価値観』を知る前に『間違った情報』と『偏った価値観』を知ることです。
一般書籍には差別も間違った情報も偏った価値観もないのか……という意見があるかもしれませんが、あります。うんざりするほどあります。なにせ社会がまだ未成熟であり、まだ模索中だからです。
それも時代が進めば『当時の価値観の資料』として価値あるものになる可能性はあります。先の時代に残ればですが。
R18作品は『現実にはあり得ない残虐・暴力世界を楽しみたい』人たちのものです。間違ったものを『現実もこうなのだ』と思い込むような人たちは残念ながら年齢を満たしていても対象読者ではありません。
読者の責任をしっかりと背負ってR18作品を楽しんでください。